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白内障手術による老眼治療

[2024.06.27]
40代中盤頃から手元が見えにくくなる変化が起こり、これを老眼(老視)といいます。原因はピントを合わせる能力(調節力)の低下です。若い頃は、裸眼もしくは眼鏡をかけて遠くが見える状態で手元に目線を落とすと、そのまま手元を見ることができますが、加齢に伴い調節力が低下すると、それができなくなってしまうのです。
 
老眼の対処法として、裸眼で遠くが見える方は老眼鏡をかけたり、逆にもともと近視の方は眼鏡を外すことで手元を見ることが出来ますが、白内障手術により老眼を治療することができる場合があります。
 
白内障手術は、加齢に伴って濁った水晶体を超音波できれいにして、新しい人工レンズを眼内に挿入する手術です。このレンズには単焦点眼内レンズ多焦点眼内レンズがあり、このうち多焦点眼内レンズを使用することで、老眼を治療することができます。多焦点眼内レンズは手元と遠くにピントが合うレンズで、レンズの性質によってさまざまな種類から選択可能です。
 
少々専門的な話にはなりますが、もともと遠視で、白内障の程度が比較的軽度である場合には焦点深度拡張型(EDOF)多焦点眼内レンズを使用すると非常に満足度が高い傾向があると感じています。焦点深度拡張型レンズは50cm程度より近方の見え方がやや弱いかわりに、遠方から50cmくらいまではっきりと見ることができるレンズです。多焦点眼内レンズにもかかわらず、コントラストの低下やハロー・グレアといった不快な現象がほとんどないという利点があります。50cmよりも近方がやや弱いとはいうものの、もともと老眼で手元が見えず困っていた方にとっては、十分ご満足いただけることが多いのです。
一方で、もともと近視がある方は、焦点深度拡張型レンズでは手元の見え方が物足りなく感じる場合もあり、回折型多焦点眼内レンズなどの使用を検討します。
 
白内障手術の際に多焦点眼内レンズを使用することで、眼鏡への依存度を下げた快適な生活が手に入る可能性があるということを解説しました。白内障は多くの場合、人生のどこかで一度治療しないといけない病気ですから、その後の生活が便利になるように最適な選択をしたいものですね。
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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