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白内障手術で乱視は改善するか

[2024.05.12]
白内障手術をすると乱視が治りますか」という質問がよくあるのですが、これに答えるためにはまず、角膜乱視水晶体乱視の違いについて理解していただく必要があります。一般的に「乱視」とは角膜乱視と水晶体乱視を合わせた物を指します。

角膜乱視:
角膜乱視は、角膜の形状が不均一な(ゆがんでいる)ことによって引き起こされる屈折異常です。角膜は目の表面にある透明な組織であり、光が目に入る際に進行方向を変える役割があります(屈折)。しかし、角膜が完全に均一な球状ではなく、例えば、楕円形やゆがんだ形状をしていると、光が目に入る際に正しく屈折されず、きれいな形で網膜に届かなくなります。これを角膜乱視といいます。
 
水晶体乱視:
水晶体乱視は、水晶体の形状が正常ではない場合に生じます。水晶体は、前述の角膜と同様に光を屈折する働きがあり、この水晶体が濁った状態を白内障といいます。水晶体はおはじきのような、丸みを帯びた形状をしています。白内障になった水晶体では、光の屈折が正常に行われずに、網膜にきれいな形で光が届かない場合があります。これを水晶体乱視といいます。
 
白内障手術は、濁った水晶体を摘出し、人工の眼内レンズに置き換える手術です。上記二種類の乱視のうち、水晶体乱視は白内障手術によって改善します。一方で、角膜乱視は角膜のゆがみなので、ただ水晶体を摘出しただけでは残存してしまいます。そこで、角膜乱視が一定以上ある方には、術後の見え方をよくするために、角膜乱視を打ち消すような乱視矯正眼内レンズ(トーリックレンズ)を挿入することがあり、当院でも積極的に行っています。乱視はゆがみの形状によって直乱視倒乱視に分類されますが、特に強い倒乱視が残存した場合には術後の満足度が低下するため、なるべく矯正した方がよいと考えています。
 
当院では、術中ガイダンスシステムであるカリストを採用しているため、手術中に顕微鏡下で正確な乱視の状態を確認することができるため、簡便かつ精密に乱視矯正を行うことができています。
 
また、円錐角膜など特定の角膜の病気によって歪んだ角膜による乱視はどうやっても矯正できない場合があり、これを不正乱視といいます。不正乱視が強く、見え方に困る場合にはハードコンタクトの装用などにより改善を試みます。
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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