メニュー

網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症とは、網膜の血管には動脈と静脈がありますが、静脈内に血栓が形成されることで血管が閉塞し、閉塞した部位よりも末端で出血が起こる状態です。中高年に多く見られる病気で、加齢、高血圧、動脈硬化と関連しています。

網膜静脈の分枝(枝分かれした血管)が閉塞したものを「網膜静脈分枝閉塞症」といい、網膜静脈の本管が閉塞したものを「網膜中心静脈閉塞症」といいます。

網膜静脈分枝閉塞症では網膜上方に出血と浮腫が生じており、網膜中心静脈閉塞症では網膜全体に出血と浮腫が生じているのが分かります。

 

自覚症状

出血が眼底の中心(黄斑部)から外れている場合には、自覚症状が全くなく、健康診断で偶然指摘されることもあります。

閉塞した血管から血液の水分が漏れ出て、眼底の黄斑部に水が溜まった状態を黄斑浮腫といい、この状態になると視力低下やゆがんで見えるなどの症状を自覚します。

 

治療について

①黄斑浮腫に対する治療

網膜血管が閉塞すると眼内にはVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という物質の濃度が上昇し、血管からの水分の漏出が増えるため、黄斑浮腫が悪化します。この黄斑浮腫を放置すると視力低下が進行するので、VEGFを抑制するための抗VEGF薬という薬を目の中(硝子体内)に注射します。

下記の症例では、抗VEGF薬の硝子体内注射によって黄斑浮腫が劇的に改善しているのが分かります。

数回の注射で黄斑浮腫が改善する方もいれば、数年にわたり多数の注射が必要になってしまう方もいらっしゃいます。硝子体内注射の詳細については、別ページで詳しく解説します。

▶︎硝子体内注射について

②虚血状態(酸素不足)の網膜に対する治療

網膜は網膜内を流れる血流から得られる酸素で栄養されていますが、血管閉塞により血流が悪くなると酸素不足(虚血状態)となってしまい機能を失ってしまいます。虚血状態となった網膜に対しては、周囲の網膜から酸素を供給しようと新しい血管(新生血管)が生えてきます。しかし、この新生血管は異常な血管であり血管の構造が脆いため、簡単に血管が破れて出血してしまいます。

目の中に出血した状態を硝子体出血といい、視力は著しく低下してしまい、多くの場合は硝子体手術による出血の除去が必要になります。

このような重篤な状態に至るのを防ぐために、虚血状態に陥ってしまった網膜に対してレーザー治療を行います。レーザーが照射された網膜には、新生血管が生えてこなくなるので、硝子体出血のような急激な視力低下が起こることを予防することができます。

 

 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

▶︎医師紹介

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME