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黄斑ジストロフィ

黄斑ジストロフィ

黄斑ジストロフィとは

黄斑ジストロフィは、黄斑部の網膜や脈絡膜が遺伝性に障害される疾患です。黄斑は網膜の中心部で物を見るために重要な機能を果たしており、黄斑が障害されることで視力低下、中心部の視野障害、色覚異常などの症状が出現します。

黄斑ジストロフィの病型には、以下のように特定の診断をつけられるものがある一方で、特定の診断名をつけられない非典型的なものも存在します。有効な治療法がないために、厚生労働省によって指定難病に指定されています。

 

代表的な黄斑ジストロフィ

・卵黄状黄斑ジストロフィ(Best病)

・スタルガルト病(Stargardt病)

・中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィ

・オカルト黄斑ジストロフィ(三宅病)

 

卵黄状黄斑ジストロフィ

卵黄状黄斑ジストロフィとは

卵黄状黄斑ジストロフィは、目玉焼き状の黄斑病変を認める黄斑ジストロフィです。別名Best病とも呼ばれます。幼少期からの視力低下で発見されることが多いですが、中年以降に初めて見つかることもあります。

BEST1遺伝子の異常が原因とされています。常染色体優性遺伝のため、両親のいずれかが病気の遺伝子を持っていると子供に必ず遺伝するため、家族歴を確認することが重要です。

発症初期に、黄斑部に目玉焼きの卵黄状の隆起性病変が見られることが特徴的です。この黄色の病変は、網膜の下にリポフスチン(古くなった視細胞が代謝されたもの)が蓄積したものと考えられています。初期には目玉焼き状に見える黄色の病変は、病気が進行するにつれて形が変化し「卵黄期→偽前房蓄膿期→炒り卵期→萎縮期」と変化していきます。視力は卵黄期までは良好ですが、それ以降に低下していきます。

卵黄状黄斑ジストロフィの所見

上段の眼底写真では、目玉焼き状の黄色病変を両眼に認めます。下段の自発蛍光写真(リポフスチンが存在すると白く光る写真)では、卵黄状の病変に一致して白く光っています。

左眼は眼底写真では卵黄状の病変が分かりにくいものの、自発蛍光写真では明瞭に確認することができます。

網膜の断面図をみるOCT検査では、網膜の下に高輝度の病巣が形成されているのが分かります。

 

Stargardt病

Stargardt病とは

Stargardt病(スタルガルト病)は、両眼性の黄斑部の萎縮に加えて、その周囲に散在する黄色斑(flecksと呼ばれます)が特徴的です。

小学生頃の両眼の視力低下で発見されることが多いですが、成人以降に見つかることもあります。ABCA4遺伝子の異常が原因とされており、常染色体劣性遺伝という遺伝形式をとります。

網膜色素上皮細胞内にリポフスチンが蓄積することで、網膜色素上皮細胞の萎縮が起こると考えられています。

Stargardt病の所見

眼底には、黄斑部の萎縮病変とそれを取り囲む黄色の斑状病変(flecksと呼ばれます)を認めます。

自発蛍光写真では、黄斑部の網膜色素上皮細胞が萎縮しているため中心部は低自発蛍光となります。周辺部の網膜では、網膜色素上皮細胞内に異常に蓄積したリポフスチンを反映して過自発蛍光となります。

記事監修者について

渡辺 貴士
眼科医 渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京科学大学眼科 非常勤講師

大学病院や基幹病院において多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京科学大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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