硝子体黄斑牽引症候群
硝子体黄斑牽引症候群とは
後部硝子体剥離の際に、硝子体が網膜からスムーズに剥がれるとよいのですが、網膜との癒着が異常に強い場合には、網膜が牽引されることで様々な病態を生じます。
網膜の中心部である黄斑は、硝子体と網膜の癒着が強い場所の1つであり、硝子体が網膜を牽引することで黄斑部の構造が乱れた状態が硝子体黄斑牽引症候群です。
硝子体黄斑牽引症候群の症状
硝子体黄斑牽引症候群の診断
正常な黄斑は、中心部が凹んだ形をしています。硝子体黄斑牽引症候群では、硝子体(黄色矢印)が黄斑の中心部において網膜を牽引する(赤矢印)ため、黄斑が上方に吊り上げられるように変形しています。
硝子体黄斑牽引症候群の症例写真
症例1
硝子体による網膜の牽引が進行すると、網膜の層構造が裂ける網膜分離が生じます(黄色矢印)。
症例2
硝子体による網膜の牽引が中心部の黄斑(黄色矢印)だけではなく、周辺部の網膜(赤矢印)にも生じています。
硝子体黄斑牽引症候群の治療
白内障手術が済んでいない場合には、硝子体手術の際に白内障も同時に治療することが多く、合計の所要時間は15-20分程度です。
硝子体黄斑牽引症候群により生じた歪んで見える症状は、手術後に改善するものの完全に消失することはないため、適切なタイミングで治療を行うことが重要です。
硝子体黄斑牽引症候群の手術費用
片眼あたりの費用の概算は下記のとおりで、金額には手術費用とその他にかかる費用を含んでいます。
記事監修者について
日本眼科学会認定 眼科専門医
東京科学大学眼科 非常勤講師
大学病院や基幹病院において多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京科学大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。