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硝子体黄斑牽引症候群

硝子体黄斑牽引症候群とは

眼の大部分を占めるゼリー状の組織である硝子体は網膜と接着しています。加齢に伴って、硝子体は液化しながら網膜から剥がれる変化を起こし、この変化は後部硝子体剥離と呼ばれます。

後部硝子体剥離の際に、硝子体が網膜からスムーズに剥がれるとよいのですが、網膜との癒着が異常に強い場合には、網膜が牽引されることで様々な病態を生じます。

網膜の中心部である黄斑は、硝子体と網膜の癒着が強い場所の1つであり、硝子体が網膜を牽引することで黄斑部の構造が乱れた状態が硝子体黄斑牽引症候群です。

 

硝子体黄斑牽引症候群の症状

網膜の中心である黄斑の機能が障害されるのでの、視力低下に加えて歪んで見える症状が生じます。
軽度の歪みは日常生活では自覚することはできませんが、細かい格子状の線を見たときに症状が明らかになる場合があります。
 

硝子体黄斑牽引症候群の診断

硝子体黄斑牽引症候群は、網膜の断面図をみるOCT検査によって診断を行います。

正常な黄斑は、中心部が凹んだ形をしています。硝子体黄斑牽引症候群では、硝子体(黄色矢印)が黄斑の中心部において網膜を牽引する(赤矢印)ため、黄斑が上方に吊り上げられるように変形しています。

 
網膜の牽引は徐々に進行します。下記の写真では、初診時に硝子体黄斑牽引症候群によって網膜が吊り上げられる変化を認めました。3ヶ月後には網膜の牽引が進行し、網膜が浮き上がる変化(赤矢印)が強くなっています。
 

硝子体黄斑牽引症候群の症例写真

硝子体黄斑牽引症候群は、程度によって様々な状態を示します。
症例1

硝子体による網膜の牽引が進行すると、網膜の層構造が裂ける網膜分離が生じます(黄色矢印)。

症例2

硝子体による網膜の牽引が中心部の黄斑(黄色矢印)だけではなく、周辺部の網膜(赤矢印)にも生じています。

 
 

硝子体黄斑牽引症候群の治療

硝子体黄斑牽引症候群の治療方法は、硝子体手術です。硝子体手術により、硝子体と網膜の癒着を完全に解除した上で、眼内の硝子体を除去します。当院では日帰りで治療が可能です。

白内障手術が済んでいない場合には、硝子体手術の際に白内障も同時に治療することが多く、合計の所要時間は15-20分程度です。

硝子体黄斑牽引症候群により生じた歪んで見える症状は、手術後に改善するものの完全に消失することはないため、適切なタイミングで治療を行うことが重要です。

硝子体手術について

 

硝子体黄斑牽引症候群の手術費用

硝子体黄斑牽引症候群に対する硝子体手術は保険適用となるため、患者様の年齢や収入によって費用の負担が変わります。また、白内障手術を同時に行う場合にも費用の負担が変わります。

片眼あたりの費用の概算は下記のとおりで、金額には手術費用とその他にかかる費用を含んでいます。

上記の表で上限と記載されている金額は、高額療養費制度による自己負担限度額に達する場合となります。
高額療養費制度とは、医療費の負担が高額になった場合に1か月あたりの医療費の支払い金額の上限を定めている制度で、限度額を上回った金額が払い戻しされます。高額療養費制度の詳細については下記をご参照ください。

記事監修者について

渡辺 貴士
眼科医 渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京科学大学眼科 非常勤講師

大学病院や基幹病院において多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京科学大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

医師の紹介

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