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眼瞼ミオキミア、眼瞼痙攣

眼瞼ミオキミア、眼瞼けいれん、片側顔面けいれんは、名前が似ていますが異なる疾患であり、治療方法も異なります。
 

眼瞼ミオキミア

眼瞼ミオキミアとは、上眼瞼または下眼瞼がピクピク動く状態で、自分の意思に関わらず筋肉が動くため不快感を感じます。通常は片眼性に生じ、下眼瞼耳側に生じることが多いです。
疲労、ストレス、睡眠不足、カフェインの過剰摂取などが原因とされています。

片側顔面痙攣の初期症状と区別がつかないことがあり、症状が持続する場合には眼瞼以外の筋肉にも痙攣が生じていないか注意して経過観察を行います。

他にも神経症状をともなう場合には、MRIで脳の異常がないか調べることが必要です。

眼瞼ミオキミアの治療

過労や睡眠不足を避けることで、数日から数週間で自然に症状は治ります。
 

鑑別が必要な疾患

片側顔面けいれん

片側顔面けいれんは、片側の顔面の筋肉が全体的に収縮を起こす病気です。初期症状が下眼瞼から始まるため、眼瞼ミオキミアとの区別が難しい場合があります。

チック
チックは顔や体の筋肉の一部が自分の意思とは関係なく素早く動く状態です。

5歳以下では瞬目が多いため、眼瞼ミオキミアと症状が似ています。10歳以降には、手足や全身が動くようになります。大人になるにつれて自然に治ることが多いです。チックは一時的に自分の意思で止めることができますが、眼瞼ミオキミアは自分の意思で止めることはできません。
また、体が動いてしまうことを運動性チックといい、これに咳払いや汚い言葉を発してしまう音声チックが合併し、1年以上みられる場合はトゥレット症候群と呼ばれます。

 

片側顔面けいれん

片側顔面けいれんとは、顔面神経の異常な興奮により、顔面神経が動かしている顔面の筋肉(表情筋)が自分の意思とは関係なく痙攣を繰り返す状態です。原則は片側性に症状が出現し、顔半分の筋肉が収縮して痙攣を生じるために、表情の左右差が大きくなります。中高年の女性に多い病気です。
初期には下眼瞼の痙攣から始まり、進行すると頬部や口角部の痙攣を生じます。全て顔面神経に支配される表情筋であるため、これらの痙攣は同じリズムで生じます。

片側顔面けいれんの原因

顔面神経の一部が血管に圧迫されることで生じると考えられています。しかし、顔面神経を圧迫する原因が脳腫瘍による可能性もあるため、診断の際にはMRIで脳の精査を行っておくことが大切です。

片側顔面けいれんの治療

現在では、ボツリヌス毒素(ボトックス)注射による治療が第一選択になっています。
顔面神経を圧迫している血管に対して、その圧迫を取り除く微小血管減圧術という手術がありますが、全身麻酔での手術になることや合併症のリスクもあることから、重症例やボトックス注射が無効であるような場合に検討されます。
 

眼瞼けいれん

眼瞼けいれんとは、目を閉じる筋肉(眼輪筋)が自分の意思とは関係なく収縮することで、無意識のうちに目を閉じたままとなり、目を開けるのが困難になる状態です。

痙攣(けいれん)という病名から、まぶたがピクピク動く病気と勘違いされることがありますが、眼瞼けいれんではまぶたがピクピクすることはありません。

眼瞼けいれんの症状

両眼とも目を開けるのが困難であることに加えて、眼の不快感やまぶしさを感じ、症状が重い場合にはうつ症状をきたします。

目の乾きもあることから、ドライアイとして治療されているケースがよくあります。点眼薬で改善しないドライアイ症状で悩まれている方は、眼瞼けいれんの可能性ありますのでご相談ください。

眼瞼けいれんでは、自分の意思でまばたきをリズミカルに行うことが難しくなります。診察室では、素早いまばたきやリズムに合わせたまばたきができるかどうかを確認します。

眼瞼けいれんの治療

眼瞼けいれんの原因は大きく3つに分けられます。
1.本態性眼瞼けいれん
原因がはっきりしないもので、眼瞼けいれんの多くはこのタイプとなります。中高年の女性に多く発症します。
ボツリヌス毒素(ボトックス)による治療を行います。
2.薬剤性眼瞼けいれん
抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬などの内服薬を使用している20-50歳の世代に多く発症します。
ボツリヌス毒素(ボトックス)による治療には反応しないことがあり、内服薬の減量や中止によって症状が改善することがあります。
3.症候性眼瞼けいれん
パーキンソン病、脳梗塞などの疾患に伴って生じる眼瞼けいれんです。
ボツリヌス毒素(ボトックス)による治療に加えて、原因になっている疾患の治療を行います。
 

鑑別が必要な疾患

開瞼失行
まぶたを開ける(開瞼動作)が遅れてしまう開瞼失行という状態があります。開瞼時にまぶたを持ち上げる上眼瞼挙筋が働かずに、眉毛やおでこの筋肉を使って目を開けようとします。指などでまぶたを持ち上げた後は、開瞼を維持することは可能です。
Meige症候群
自分の意思によらない筋肉の収縮が眼瞼のみ見られる状態が眼瞼けいれんですが、この異常な筋収縮がその他の顔や頚部の筋肉におよんだ状態がMeige症候群(メージュ症候群)です。目を閉じた状態で、唇をすぼめたり顔をしかめたりするような表情が特徴的です。
 

ボトックス注射

ボトックス(ボツリヌス毒素)は筋肉の緊張を緩和させる作用を持っているため、痙攣を生じている筋肉へ直接注射することで痙攣症状を抑えることができます。

当院では、片側顔面けいれん眼瞼けいれんに対するボトックス注射を日帰りで治療を行っています。

注射をしてから数日後に効果が現れ始めて、3ヶ月程度の期間効果が持続します。効果が薄れてきたら、症状に応じて繰り返しの注射を行います。

ボトックス注射の費用

片側顔面痙攣と眼瞼痙攣に対するボトックス注射は保険適用となるため、患者様の年齢や収入によって費用の負担が変わります。費用の概算は下記のとおりです。

・3割負担の場合:約12,000円

・2割負担の場合:約8,000円

・1割負担の場合:約4.000円

ボトックス注射の副作用

  1. 眼瞼下垂:上眼瞼を挙上する筋肉の作用が減弱することで、上眼瞼が上がりにくくなることや、開瞼する時に重さを感じることがあります。薬剤の効果の消失と共に症状は回復します。
  2. 兎眼(とがん)、涙目:眼輪筋(目を閉じる筋肉)の麻痺によって目が閉じにくくなるため、眼表面が傷つくことや涙がこぼれやすくなることがあります。点眼薬で様子をみますが、薬剤の効果の消失と共に症状は回復します。
  3. 複視:薬剤が外眼筋(目を動かす筋肉)に作用した場合には、物が二重に見える(複視)場合があります。
  4. 皮下出血:注射部位において内出血を生じることがありますが、自然に症状は消失します。
  5. 効果の減弱:治療を繰り返すうちにボツリヌストキシンに対する抗体が産生されると、治療効果が減弱することがあります。

記事監修者について

副院長 東 岳志
眼科医 東 岳志

日本眼科学会認定 眼科専門医

瞼の手術や涙道の治療を行う眼形成外科を専門としています。特に眼瞼下垂手術を得意としており、眼科専門医として眼の機能を第一に考えながら、整容面にも最大限配慮した治療を心がけています。

医師の紹介

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