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結膜炎

結膜炎とは、様々な原因によって結膜に炎症を起こした状態で、結膜の充血や眼脂(めやに)を生じ、異物感やかゆみなど様々な症状を引き起こします。結膜炎の原因には、アレルギー性、ウイルス性、細菌性などあります。
 

アレルギー結膜炎

アレルギー性結膜炎とは、花粉やハウスダストなどに対して過剰な免疫反応が生じることで起こる結膜炎です。眼のかゆみの症状が強く、充血や眼脂などを伴います。

免疫反応の原因になる物質をアレルゲンと呼び、花粉やハウスダスト以外にも、ダニ、ほこりなどの様々なものが原因となります。自分が何に対するアレルギーを持っているかは、血液検査によって調べることができ、当院ではView 39という検査を行っております。

 
アレルギー結膜炎の治療
抗アレルギー点眼薬による治療を基本に、症状が強い場合にはステロイド点眼薬も併用します。全身のアレルギー症状を伴っている場合には、抗アレルギー薬の内服も行います。

薬により症状が改善することが多いですが、日常生活において原因物質(アレルゲン)との接触を減らすことも大切です。

 
アレルギー性結膜炎の類縁疾患
巨大乳頭結膜炎

コンタクトレンズによる機械的な刺激により、上まぶたの裏側に巨大な乳頭性の増殖変化を認める状態です。初期には自覚症状がありませんが、病状の悪化に伴って眼の違和感や眼脂は多くなり、コンタクトレンズのずれやすさを自覚する場合もあります。

コンタクトレンズの装用を中止した上で、アレルギー性結膜炎と同様の治療を行います。2週間や1ヶ月で交換するタイプのコンタクトレンズで発症を繰り返す場合には、1日使い捨てタイプのコンタクトレンズに変更することを勧めます。

春季カタル

小学生頃の男児に多い病気です。上まぶたの裏側や結膜の部分に乳頭性の増殖変化を認める状態です。激しい掻痒感や異物感などの症状があります。隆起性の病変により角膜が障害されると、眼痛も伴います。

アレルギー性結膜炎と同様の治療では不十分なことが多く、免疫抑制剤の点眼薬が必要になる場合もあります。

上の写真では、角膜輪部(黒目の周囲)の結膜に堤防状の隆起性病変を認めます。

 

ウイルス性結膜炎

結膜炎を起こす代表的なウイルスには、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。

特にアデノウイルスによる流行性角結膜炎(はやりめ)は、感染力が強いため十分な感染予防対策が必要です。

 

流行性角結膜炎
白目の著しい充血、多量の目やに、涙目、目の痛みなどの自覚症状があります。潜伏期は約1週間です。
感染力が強く、目やにや涙を介して感染します。片眼に発症した場合には間もなく両眼に発症することや、家族内で1人が感染すると家族全員が発症してしまうこともあります。保育園、幼稚園、学校に通っている場合には出席停止となります(学校保健安全法)。大人の場合にも、職場の内規などで出勤停止が義務付けられている場合があります。
 
流行性角結膜炎の治療
アデノウイルスを死滅させる有効な点眼薬がないため、炎症をおさえるためのステロイド点眼、他の細菌感染を予防するために抗菌薬点眼で治療を行います。多くの場合には1-2週間程度経過すれば、体の免疫力により症状は落ち着いてきます。

炎症が強く生じた場合には、白色の膜(偽膜)がまぶたの裏側に付着することがあります。偽膜が形成されると点眼薬の治療だけでは治癒せず、物理的に偽膜を除去することが必要です。

炎症が強い場合には角膜に混濁(角膜上皮下混濁)を生じることがあり、霞み目や視力低下の原因になります。視機能に障害を残す可能性もあるため、適切な治療を行うことが重要となります。
 
偽膜と角膜上皮下混濁
下の写真では、上まぶたの裏側に偽膜(黄色矢印)が付着しており、瞼結膜全体も強く充血しています。繰り返しの偽膜除去とステロイド点眼の治療により、偽膜は消失し、瞼結膜全体も元の状態に戻ります。
 
下の写真では、両眼の流行性角結膜炎を発症した後に、両眼とも角膜混濁下混濁(黄色矢印)を生じました。左眼の方が高度の角膜上皮下混濁を生じており、左眼では視力低下の自覚症状がありました。
 
生活上の注意点
アデノウイルスによる結膜炎と診断されたら以下に気をつけてください。

・感染力が続く2週間以内は、できるだけ他の人との接触を避ける。

・眼をさわった後は、すぐに石鹸と流水で手洗いをする。

・家族内で、タオル・枕などを共用で使うことは避ける。

・入浴は家族内で最後に入り、お風呂の残り湯を洗濯などに使わないようにする。

 
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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