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狭隅角、浅前房

人間の目の中には房水と呼ばれる水が流れており、目の組織に栄養を供給しています。房水は毛様体で産生されると、虹彩の後面から前面に流れ込み、最終的には隅角(ぐうかく)のシュレム管と呼ばれる場所から眼外に流出していきます。
 
 
房水が流出する隅角のスペースが狭い状態を狭隅角(きょうぐうかく)といいます。狭隅角でも房水の流出がしっかり行われている状態であれば問題ないのですが、さらに隅角のスペースが狭くなると房水が流出できなくなります。房水が流出できなくなくなると、眼内の限られた空間の中に水が貯留することになり眼圧が急激に上昇し、急性緑内障発作と呼ばれる状態に至ります。
急性緑内障発作に至ると、著しい眼圧の上昇により、眼痛や頭痛(嘔気を伴うことも)、霞んで見える、結膜充血などの症状を引き起こします。また、眼圧が高い状態が続くと、眼の奥にある視神経が障害され、短時間で高度の視野障害を引き起こすため、緊急での治療が必要になります。
 
*浅前房:角膜と虹彩の間の房水がある空間を前房といい、この前房の空間が狭いことを浅前房といいます。狭隅角と同様の意味で用いられることが多いです。
 

狭隅角の治療

狭隅角であっても全員が急性緑内障発作に至るわけではありませんが、急性緑内障発作を発症すると緊急での治療が必要であったり、視力の予後が悪いケースがあるため、適切な治療を受けておくことで安心して日常生活を過ごすことができます。
狭隅角の治療には、①レーザー虹彩切開術、②白内障手術の2種類があり、それぞれについて下記で詳しく説明します。
 
①レーザー虹彩切開術
レーザー虹彩切開術とは、虹彩の周辺部にレーザーを用いて穴をあける方法です。レーザーにより開けた穴を通して房水の流れる経路が増えるため、狭隅角の状態が改善されます。
しかし、この治療だけでは完全には急性緑内障発作を予防できるわけではないため、下記に述べる白内障手術が必要となる場合があります。
 
 
 
②白内障手術
一般的な白内障手術とは、水晶体が濁って視力が低下してしまった状態に対して、濁った水晶体を取り除き、新しい透明な眼内レンズを挿入することで視力の回復を図ることが目的となります。
しかし、狭隅角に対する白内障手術では手術の目的が異なります。水晶体は目の中ではかなり大きな空間を占めており、もともと眼球自体が小さい方では、水晶体の厚みのために虹彩が全体的に目の前方に押しやられて狭隅角の状態となります。
白内障手術を行うと、分厚い水晶体を取り除いた代わりに、薄い眼内レンズを挿入します。眼内レンズは水晶体に比べると非常に厚みが薄いために、虹彩の前後の空間が広がることとなり、隅角が広がります。
 
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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