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狭隅角、浅前房

狭隅角

隅角(ぐうかく)とは
眼内には房水と呼ばれる水が循環しており、眼の組織に栄養を供給しています。

房水は毛様体で産生されると、虹彩の後面から前面に流れ、最終的には隅角の線維柱帯を通過してシュレム管から眼外に流出します。

 
 
狭隅角(きょうぐうかく)とは
房水が流出する隅角のスペースが狭い状態を狭隅角(きょうぐうかく)といいます。

狭隅角でも房水の流出が機能していれば問題ありませんが、隅角が高度に狭くなると房水が流出できなくなるために、眼圧が急激に上昇して急性緑内障発作と呼ばれる状態にいたります。

急性緑内障発作を発症すると、著しい眼圧上昇により、眼痛、頭痛、嘔気、霞んで見える、結膜充血などの症状が生じます。眼圧が高い状態が続くと、眼の奥にある視神経が障害されて視野が欠けていきます。短時間で高度の視野障害を引き起こすため、緊急の治療が必要になります。

浅前房(せんぜんぼう)とは
角膜と虹彩の間の房水がある空間を前房(ぜんぼう)といい、この前房の空間が狭いことを浅前房といいます。

狭隅角と同様の意味で用いられることが多いです。

 

狭隅角の治療

全ての狭隅角の方が、急性緑内障発作になるわけではありませんが、急性緑内障発作を発症すると緊急での治療が必要になるだけでなく、多くの場合には視力予後が悪くなります。
狭隅角であることが分かった段階で適切な治療を受けることで、安心して日常生活を送ることができるようになります。

狭隅角の治療には、レーザー虹彩切開術白内障手術の2種類があります。

レーザー虹彩切開術

レーザー虹彩切開術は、虹彩の周辺部にレーザーを用いて穴をあける処置です。虹彩に開けた穴を通して房水の流れる道が増えるために、狭隅角の状態が改善されます。

しかし、この治療だけでは完全には急性緑内障発作を予防することはできず、長期的には白内障手術が必要です。
 
 
白内障手術

一般的な白内障手術は、水晶体が濁って視力が低下した状態に対して、濁った水晶体を取り除き新しい透明なレンズを挿入することで視力の回復を図ります。

狭隅角に対する白内障手術では,

手術の目的が異なります。水晶体は分厚く眼内では大きな空間を占めているため、もともと眼球自体が小さい方では、水晶体の厚みにより虹彩が全体的に眼の前方に押されて隅角が狭くなります。

白内障手術では、水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入します。眼内レンズは水晶体に比べると非常に薄いので、虹彩の前後の空間が確保され隅角が広がります。
 
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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