白内障手術のやり直し(眼内レンズ交換)
[2023.12.31]
人生100年時代とも言われる昨今、白内障手術はほとんどの方がどこかのタイミングで受ける必要のある手術といえます。
白内障手術は、混濁した水晶体(白内障)を摘出して、人工の眼内レンズに置き換える手術です。当院では通常の白内障手術は5分程度で終了し、痛みもほとんどありません。眼科医療をとりまく技術の進歩により随分と負担が少ない手術になっているのです。
白内障は基本的には再発しない
白内障手術では、水晶体の袋(水晶体囊)以外の水晶体を完全に除去するため、白内障が再発する(水晶体が再び混濁する)ことはありません。術後に一定の確率で水晶体囊が濁ることがあり、これを後発白内障と呼びますが、白内障が再発するわけではありません。後発白内障になった場合には、レーザー治療で混濁した水晶体囊を除去します。
一度白内障手術を受けてしまえば基本的には眼内レンズは一生物ですから、ずっと透明なレンズで生活することができます。
しかし、まれに白内障の再手術が必要になることがあり、初回手術時に挿入した眼内レンズの位置がずれる(眼内レンズの脱臼)場合などが該当します。この再手術では、水晶体囊の形が保たれていないことが多く、硝子体手術(眼内レンズ強膜内固定術)が必要になります。
白内障手術後の見え方を変えたい場合
眼内レンズ交換
白内障手術を受けた後で、希望のレンズの種類が変わってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
例えば、「術前には裸眼で手元が見たいと思っていたけれど、術後しばらくして考え方やライフスタイルが変わり、やはり裸眼で遠くが見たいと思ってしまった」や、「術前には単焦点レンズを希望していたけれど、術後しばらくして多焦点レンズが良いと思った」などです。このような場合、一度入れたレンズはもう二度と変えられないという説明を受ける場合もあるとは思いますが、眼内の状況次第では再手術をして希望の眼内レンズに入れ替えることが可能です。
眼内レンズを交換する手術によって、レンズの度数(ピントが合う位置)だけでなく、レンズの種類(単焦点レンズか、多焦点レンズか)についても変更することができます。初回の白内障手術後に強い乱視が残存していて、これを矯正したい時にもレンズの交換により解決できる場合があります。
アドオンレンズ
眼内の状況によっては、すでに挿入されているレンズを取り除かずにアドオンレンズ(追加眼内レンズ)を挿入することによって、眼内レンズが2枚挿入されている状況を作り出し、結果としてレンズの度数や種類を変更するような方法もあります。
眼内レンズ交換の手術方法
初回の白内障手術と同様に、点眼麻酔下で治療を行います。古い眼内レンズと水晶体囊は癒着して固定されているため、この癒着を丁寧に解除します。古い眼内レンズを無事に摘出することができたら、新しい眼内レンズを水晶体囊内に挿入します。
眼内レンズ交換の手術費用
ここでは患者様のご希望により眼内レンズを交換する手術を行うという選択肢についてご説明しました。
この手術は自費診療になり、当院では30万円〜(+税)の費用で治療を行っています。費用は使用するレンズの種類によって異なります。
当院での手術はもちろんのこと、他院で白内障手術をお受けになられて術後に考え方が変わられたなど、ご希望の見え方と異なる場合はお気軽にご相談くださいね。
記事監修者について

眼科医 渡辺 貴士
日本眼科学会認定 眼科専門医
東京科学大学眼科 非常勤講師
大学病院や基幹病院において多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京科学大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

