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アトピー性皮膚炎と眼の病気

[2024.01.20]
アトピー性皮膚炎眼の病気には関連があり、若年の方においても手術を含む治療が必要になる場合があるので、これについて解説します。
 
白内障
アトピー性皮膚炎の方は白内障になりやすいです。掻痒感から顔に手が伸びてしまうため、顔面や眼の周囲への刺激が原因で白内障になります。白内障は一般的に加齢により生じる水晶体の混濁ですが、アトピー性皮膚炎に伴う白内障は10代の方にも起こり、強い視力低下羞明(まぶしく見える症状)をきたします。

治療は手術を行いますが、そもそもこの種の白内障は眼の周囲への物理的な刺激によって生じているため、チン氏帯断裂を合併している場合があり、難治になる場合があります。チン氏帯とは、眼内で水晶体を支えているひも状の組織で、これが高度に断裂してしまうと水晶体を固定できなくなる(水晶体脱臼、眼内レンズ脱臼)ため、眼の奥の手術である硝子体手術をして眼内レンズを眼の中に縫いつける手術が必要になります。また、アトピー性皮膚炎による白内障は前嚢下白内障といって特殊な形状の白内障であることが多く、これも通常の白内障に比して難治になる傾向があります。

 
網膜剥離
アトピー性皮膚炎の重大な合併症として、網膜剥離が挙げられます。顔面を掻いたり、叩いたりする物理的な刺激によって、網膜に穴があき、網膜が剥がれてしまう病気です(裂孔原性網膜剥離)。網膜剥離の状態によっては緊急手術が必要になり、放置すると失明する場合もあるため非常に重篤な合併症として知られています。

治療は手術を行い、手術には硝子体手術もしくは強膜内陥術(強膜バックリング術)を行います。アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離は難治になる傾向があり、最重症病型である増殖硝子体網膜症に移行する場合も多いため、網膜剥離の手術に熟練した医師による治療が推奨されます。

 
円錐角膜
アトピー性皮膚炎の方は角膜(黒目)の形状が特殊な場合があります。具体的には角膜の一部分が突出してしまうことによって視力が低下する状態になっていることがあり、これを円錐角膜といいます。治療はハードコンタクトレンズで角膜の形状を矯正しますが、重症な場合、角膜移植の手術を行うこともあります。
 
以上がアトピー性皮膚炎に合併する主要な眼科の疾患です。
当院は難治例を含む白内障や網膜剥離の手術治療を得意としております。アトピー性皮膚炎があり、眼の見え方が思わしくない方は治療が必要な場合があるので、早めに一度ご相談下さいね。
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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