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狭隅角と急性緑内障発作について

[2023.12.19]
狭隅角」という状態と、この狭隅角により引き起こされる「急性緑内障発作」という疾患について説明したいと思います。
 
隅角とは眼内を循環するお水(房水)の排水口がある場所です。房水は眼の中の毛様体という所で産生されて、隅角から眼の外に出て行くのです。
この排水口が狭くなった状態狭隅角といいます。
 
狭隅角の状態が続くとやがて排水口が完全に詰まって、眼の中を循環するお水の逃げ道がなくなってしまい、眼の中の圧力(眼圧)が極度に高まります。この状態を急性緑内障発作といいます。
 
急性緑内障発作を発症すると、激しい頭痛眼痛嘔吐などの症状が急激に出現し、同時に著しい視力低下を引き起こします。すぐに発作が解除されれば視機能は回復することもありますが、長時間発作が解除されない場合、視力は大きく損なわれ、失明に近い状態に至る場合もあります
急性緑内障発作」はいわゆる「緑内障」とは全く別の病気です。
注意が必要なのは、狭隅角が高度に進んだ状態であったとしても、ほとんどの場合において痛みや視力低下などの症状が一切ない点です。発作を起こして初めて激烈な症状が出現するのです。
このため、狭隅角が高度である場合には急性緑内障発作を予防するために処置を行います。
 
予防の処置として第一に考えられるのが、白内障手術です。白内障手術を行うことで肥厚した水晶体を除去し、薄い眼内レンズを挿入することができます。そもそも白内障は、加齢などの原因により水晶体が混濁して視力が低下してしまう病気ですが、白内障による視力低下がない場合においても、狭隅角が高度である場合は白内障手術を行います。これにより眼内のスペースが確保され、狭くなった隅角が開大するのです。白内障手術が済んでいる眼には原則として急性緑内障発作は起こりません。
 
予防の処置として次に考えられるのが、レーザー虹彩切開術(LI)もしくは周辺虹彩切除術(PI)です。虹彩に穴を開けてそこから水が通り抜けられるようにすることで、発作を予防する方法で、この方法の場合全ての発作を予防できるわけではないことに注意が必要です。一方で、若い人などで白内障が全くない場合、この方法が選択されることがあります。
 
一度急性緑内障発作を発症するとその後の治療も大変なので、眼科に通院する習慣がない方は時々眼の検診を受けるようにして下さいね。
 
狭隅角と緑内障発作について、イラストも含めた詳しい説明はこちらをご覧下さい。
 
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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