目が痛い・目の違和感・目がゴロゴロする
眼の表面が痛くなる原因の多くは、角膜や結膜に傷が付いたり、異物が付着したりすることで生じます。眼の表面に存在する三叉神経(さんさしんけい)は非常に繊細なため、小さな傷であっても強い痛みを感じることがあります。
眼の奥が痛い場合には、急性緑内障発作、ぶどう膜炎、視神経炎などの病態が考えられ、それぞれに対する適切な治療が必要になります。
ドライアイ
ドライアイでは眼の表面に傷がつきますが、軽度の傷であれば自覚症状がないことも珍しくありません。しかし、眼表面の傷が重度になると、眼の違和感や痛みだけでなく、視力低下を生じることもあります。
ソフトコンタクトレンズを装用している場合には特に注意が必要で、重度の傷があってもコンタクトレンズにより痛みが緩和されるために、受診のタイミングが遅れることがあります。
点眼薬で眼表面を潤す治療が基本になりますが、重症例では涙点プラグによる治療を行うこともあります。
結膜異物・角膜異物
結膜異物や角膜異物がある場合には、強い痛みや違和感のために、眼を開けるのが困難なこともあります。また、異物が自然に取れたとしても、眼表面が傷付いている場合には痛みや違和感が残ります。
結膜異物
上まぶたの裏側に入りこんだ異物は自分で取り除くことは難しいため、眼科での除去が必要です。
角膜異物
右側の写真は鉄片の除去後に、周囲の角膜に鉄錆を生じている状態(角膜鉄錆症)です。角膜鉄錆症では、繰り返し混濁の除去が必要になります。
異物が入った時の初期対応
化学薬品が入った場合には、薬品の種類によっては緊急性が高いことがあり、なるべく早く多量の水で洗い流すことが重要です。
結膜結石
結膜結石が結膜下に埋まっていて無症状である場合には治療は不要です。しかし、結膜結石が結膜下から露出して眼表面を傷付けている場合には、結膜結石を取り除く処置が必要です。
少数の結膜結石であれば、診察室内で点眼麻酔下で取り除くことが可能です。多数の結膜結石を取り除く必要がある場合には、処置室で仰向けになった状態で処置を行います。
角膜上皮びらん
角膜は5層の構造からできていますが、角膜の最表層である角膜上皮という部分が剥がれた状態です。角膜上皮びらんを生じると、強い痛みを感じます。
角膜上皮びらんは、外傷やコンタクトレンズの付け外しなどに伴って生じます。角膜の上皮が再生してくるまで、点眼薬や眼軟膏による治療を行います。
再発性角膜上皮びらん
角膜潰瘍
外傷や感染症により角膜中央部に潰瘍が形成される場合と、全身疾患の一症状として角膜周辺部に潰瘍を生じる場合があり、原因に応じた適切な治療が必要です。
逆さまつげ
角膜や結膜の傷が軽度であれば、定期的にまつ毛を抜くことで経過をみることができます。しかし、重度の傷により痛みが強い場合や感染症を生じた場合には、手術が必要です。
マイボーム線機能不全
油分が詰まったマイボーム腺に細菌感染が生じるとマイボーム腺炎の状態となり、眼周囲の違和感や不快感を強く感じることがあります。
結膜弛緩
結膜弛緩は、特に下まぶたにおいて多く見られます。緩んだ結膜が目の表面をこすることで異物感を生じるだけでなく、涙液の流れを障害することで涙目の症状を生じることがあります。症状の程度に応じて手術を行います。
上の写真においては、いずれも弛緩した結膜が下方の角膜(黒目)を覆っています。
感染性角膜炎
早期に適切な診断を行った上で、原因となる細菌やウイルスに対して、抗菌薬や抗ウイルス薬による治療を行います。
糸状角膜炎
糸状物の除去を行なった上で、ドライアイの治療を行います。一度の除去だけで完治するのは難しく、繰り返しの糸状物の除去が必要になる場合があります。
記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京科学大学眼科 非常勤講師
大学病院や基幹病院において多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京科学大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。