メニュー

角膜炎

一般的には黒目と呼ばれる眼の表面の「角膜」に炎症が生じた状態です。角膜は通常は透明な組織なのですが、様々な原因により炎症が起こると、濁ってしまうことで見えにくくなったり、痛みを生じたりします。
 
角膜炎には下記のような種類があり、原因に応じて適切な治療を行うことが重要となります。
 

細菌性角膜炎

細菌が角膜に感染を起こした状態で、目の痛みや白目の充血などの症状があります。角膜に混濁が生じるために見え方も悪くなります。感染した細菌の種類によって重症度が異なり、また使用する抗菌薬も異なるため、適切な診断と治療の選択が必要となります。
上の写真では少し分かりにくいものの本来は透明なはずの角膜の一部が淡く混濁しています。また、毛様充血といって角膜の周囲に限局した充血の所見も認めます。上記の症例においては、抗菌薬の治療により、角膜の混濁はわずかに残っているものの充血症状は改善し、痛みなどの自覚症状もなくなりました。

角膜ヘルペス(上皮型)

ヘルペスウイルスが角膜の表面に感染を起こした状態で、異物感・涙目・眩しさなどの症状を自覚します。目の表面の傷を見るための薬(フルオレセイン染色液)を用いて顕微鏡で診察を行うと、下記の写真の用に枝分かれした病変を認めます。この特徴的な見た目から、樹枝状角膜炎とも呼ばれます。
 
 
治療は、抗ウイルス薬(アシクロビル)の眼軟膏を眼の表面に塗布します。治療期間は2〜3週間程度です。重症の場合には、抗ウイルス薬の内服が必要となることもあります。
ヘルペスウイルスは、眼の表面の知覚を行う三叉神経と呼ばれる場所に普段は潜んでおり、体の免疫力が低下した時に繰り返し角膜に病気を起こすことがあるので、再発した場合にはその都度しっかり治療を行います。
 
*角膜ヘルペス(実質型)
上で紹介したのは上皮型と呼ばれ、角膜の表面にヘルペスウイルスの感染による病変を生じた状態です。ヘルペスウイルスは角膜の実質(角膜の内部)に炎症を生じることもあります。実質型の角膜ヘルペスでは、円板状の混濁が特徴的です。抗ウイルス薬の眼軟膏に加えて、ステロイド点眼が必要となります。
 

アカントアメーバ角膜炎

コンタクトレンズを不適切に使用している方に起こりやすい感染症です。病気の程度に応じて様々な角膜の混濁を生じ、強い眼の痛みを伴います。アカントアメーバを死滅させるための有効な治療薬がないため、病変部の角膜を切除したり、抗菌薬・抗真菌薬・消毒薬などの様々な薬を用いて治療を行います。難治性のため治療期間は長期にわたり、角膜の混濁が強く残ってしまった場合には角膜移植が必要になることもあります。
アカントアメーバ感染にならないようにすることが重要で、「コンタクトレンズの使用期間を守る、コンタクトレンズは専用の洗浄液を用いてしっかり洗う、コンタクトレンズケースも清潔に保ち定期的に新しいものに交換する」などを心掛けて下さい。
 
上の写真は左側が初診時、右側が治療開始1ヶ月後です。初診時は著しい角膜の混濁により目の奥は全く診察することができません。充血も強く、痛みの症状も強いです。頻回の病変の切除と点眼治療により、1ヶ月後には混濁の程度は減少し、充血の程度も改善傾向でしたが、最終的には角膜疾患を専門に扱う医療機関への紹介となりました。

糸状角膜炎

角膜表面に糸状の構造物が付着する状態で、痛みや異物感を自覚します。ドライアイによって目の表面の涙が少なくなり、まぶたと目の表面がこすれる(摩擦が生じる)ことで生じると考えられていますが、他にも様々な原因が考えられています。
糸状物の除去を行なった上で、ドライアイの治療を行います。一度の除去だけで治ることは少なく、定期的な通院により繰り返しの糸状物の除去が必要となることが多いです。
 
 
 
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

▶︎医師紹介

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME