網膜裂孔
網膜裂孔とは
網膜裂孔とは網膜の一部に穴があいた状態です。網膜裂孔が形成された時に、網膜組織の一部や網膜血管からの出血が硝子体内を舞うことで飛蚊症(ひぶんしょう)が生じます。
網膜裂孔を放置すると網膜剥離に進展します。網膜剥離は眼科疾患の中でも緊急性が高いものの1つで、時に失明にいたることもあるため可能な限り発症を予防することが重要です。
網膜剥離とは
もともとゼリー状の組織である硝子体の一部が液状となり、網膜裂孔を通して網膜の下に流れ込み網膜が剥がれた状態が網膜剥離です。
初期には飛蚊症や部分的に視野が欠ける症状を自覚しますが、黄斑部の網膜が剥がれた場合には急激な視力低下を生じます。一度黄斑部の網膜が剥がれると手術を行っても視力予後は悪くなるため、網膜剥離は早期の治療が必要です。また、網膜裂孔の状態から網膜剥離に進展させてないことも重要です。
ある日突然出現した飛蚊症を伴う網膜裂孔は、網膜剥離に進展しやすいために注意が必要です。
網膜裂孔の治療
網膜裂孔に対してはレーザー治療を行います。網膜裂孔の周囲にレーザーを照射すると、網膜裂孔周囲の網膜が焼き固められ裂孔の範囲が広がりにくくなります。これはレーザーの熱によって網膜と網膜色素上皮が炎症反応を起こし、網膜と網膜色素上皮の間に瘢痕組織による癒着が生じるためです。
当院ではZEISS社の「VISULAS YAGⅢ Combi」というレーザー治療機器を導入しています。
網膜裂孔の手術費用
・1割負担の場合:約11,000-17,000円
記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京科学大学眼科 非常勤講師
大学病院や基幹病院において多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京科学大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。