メニュー

後発白内障

よく患者様から「白内障が再発した」とお話がでることがありますが、白内障は一度手術を行った後に再発することはありません。「白内障が再発した」という場合には後発白内障のことをさしている場合がよくあります。

後発白内障とは

白内障手術では、水晶体の袋(水晶体嚢)だけを残した状態で、水晶体の濁った中身を全て取り除き、代わりに綺麗な人工のレンズを眼内に挿入します。

もともと水晶体嚢は透明ですが、手術後しばらく経過してから水晶体嚢が濁ることがあり、水晶体嚢が濁った状態を後発白内障といいます。

白内障は水晶体の中身が濁る状態であるのに対して、後発白内障は水晶体の袋が濁る状態であり、全く別の病気です。いずれも一度治療を行うと、濁る構造物がなくなるため再発することはありません。

 

後発白内障の症状

後発白内障は水晶体嚢の濁りの程度に応じて、自覚症状が変化します。

初期の混濁であれば、わずかに霞んで見える程度の症状になりますが、混濁が高度になると視力の低下を引き起こします。白内障の手術後にしばらくしてから見え方が悪化してきた場合には、後発白内障の可能性があるので眼科での検診が必要です。

 

後発白内障の治療

治療の目的は、濁った水晶体嚢に穴を開けることで、再び眼内に十分な光が入るようにすることです。

点眼麻酔を行った後に、眼表面に接触するレンズを載せます。専用のYAGレーザー機器を用いて、濁った水晶体嚢に穴を開ける処置を行います。所要時間は1-2分程度で、痛みを伴うことはありません。

レーザー治療後は、一時的に飛蚊症を自覚することがありますが、2-3週間で自然に症状は軽快します。

 

後発白内障の症例写真

症例1

後発白内障の有無は、眼内に真っ直ぐに光を入れて観察する(徹照法)ことで明らかになります。

下記の写真では、左側ではオレンジ色の綺麗な反射が確認できるのに対して、後発白内障のある右側では無数の水泡状の混濁を認めます。

 

症例2

多焦点眼内レンズが挿入された眼に生じた後発白内障です。回折型多焦点眼内レンズは、レンズに同心円状の線が刻まれた構造になっていますが、レーザー治療前には濁った水晶体嚢によってその構造が不明瞭です。レーザー治療後には、同心円状の線を明瞭に確認することができます。

 

症例3

後発白内障の特殊な病型として、水晶体嚢そのものが濁るのではなく、水晶体嚢と眼内レンズの間に濁った液状の混濁物が貯留することがあり、液状後発白内障と呼ばれます。液状の混濁物によって光が通過しにくくなるため、視力低下を生じます。

通常は下記写真の左側のように、眼内レンズの透明な反射(黄色矢印)と透明な水晶体嚢(青矢印)が確認できます。一方で、右側の液状後発白内障の写真では、眼内レンズの反射(黄色矢印)と水晶体嚢の反射(青矢印)の間に、白く濁った液状の混濁物(赤矢印)が貯留しているのがわかります。

 

レーザー手術機器

従来は網膜のレーザー治療に用いるカラーレーザーと、後発白内障のレーザー治療に用いるYAGレーザーは別々の機器として独立していました。当院では、この2つのレーザーが一体化したZEISS社の「VISULAS YAGⅢ Combi」という最新の機器を導入しております。

 

後発白内障の手術費用

後発白内障に対するレーザー手術は保険適用になるため、患者様の年齢や収入によって費用の負担が変わります。
手術費用の概算は片眼あたり下記のとおりです。

・1割負担の場合:約1,500円
・2割負担の場合:約3,000円
・3割負担の場合:約4,500円
 

よくある質問 

もう一度後発白内障になることはありますか?

後発白内障になるのは一度きりです。後発白内障の治療では濁った水晶体嚢に穴をあけるので、一度処置を行って眼内レンズ後方の水晶体嚢がなくなると再び濁ることはありません。

レーザー治療後は普通に帰れますか?

後発白内障のレーザー治療後は、通常通りご帰宅いただけます。生活上の制限も特にありません。治療の際に散瞳(瞳孔が開いた状態)するため、治療後数時間は見え方が不安定になるので気をつけてお帰りください。治療後は眼内の炎症をおさえるための点眼薬をご使用ください。

後発白内障の治療後には眼内レンズの交換はできないのですか?

白内障手術後に見え方を変えたい場合(単焦点レンズでの白内障手術を受けたが、やはり多焦点レンズに変更したいなど)には、眼内レンズの交換を検討します。

しかし、後発白内障の治療後には眼内レンズの交換を行うこと困難です。もし見え方を変えたい場合には、アドオンレンズ(追加眼内レンズ)による治療を検討します。

 
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

▶︎医師紹介

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME