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結膜腫瘍

結膜腫瘍とは

結膜腫瘍とは、眼球の白目(結膜)に腫瘍ができた状態です。良性の腫瘍であることが多いものの、見た目だけでは悪性腫瘍と完全に区別することができません。年々大きくなっているような場合には腫瘍を切除摘出して、病理検査(取り出した組織を顕微鏡で観察して、腫瘍が良性か悪性かを判断する)で調べることが大切です。​
 

結膜腫瘍の種類

1)結膜母斑
若年者の結膜において、母斑細胞が増殖した結果生じる扁平な隆起性の腫瘍です。色素沈着の程度は様々で、肌色〜黒色の色調となります。
腫瘍の周囲に充血や血管拡張を伴い、腫瘍の内部には嚢胞(タピオカ様の外観と呼ばれることも)を認めることが特徴的です。
 
 
 
2)結膜メラノーシス
中高年から高齢者の結膜において、メラノサイトが異常に増殖した結果生じる扁平な腫瘍です。黒褐色〜茶褐色の色調となります。
基本的には良性の腫瘍で心配ありませんが、まれに悪性黒色腫と呼ばれる悪性の腫瘍に変化することがあり、年々の増大傾向がある場合には注意が必要となります。
 
上記の写真は2名の結膜メラノーシスですが、結膜に茶褐色の色素沈着を認めるものの、母斑とは異なり腫瘍の隆起はなく周囲の血管拡張も目立ちません。
 
 
3)結膜乳頭腫
乳頭状の隆起性病変で、目の内側の涙丘や下まぶたの結膜のあたりに生じることが多い腫瘍です。血管成分を多く含む線維性結合組織であるため、赤色〜ピンク色の色調となります。20-30歳代でよくみられ、多発することが多いです。50歳代以降では1ヶ所のみに見られるようなケースが多いです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)との関連性が指摘されており、手術で取り除いても再発することが多いとされています。
 
上記の写真では、同じ方の左眼の内側の上まぶたと下まぶたにおいて乳頭腫が多発しているのを認めます。
 
4)結膜血管腫
結膜の血管に由来する腫瘍性の病変です。自然に退縮したり、急に大きくなったり、出血したりなどの変化がありますが、通常は経過観察で問題ありません。
 
上記の写真の方は血管腫がまぶたの縁に接していて異物感があるために、切開と摘出を行いました。
 
5)結膜嚢胞
結膜下に半透明のドーム状の腫瘤ができたものです。結膜の上皮成分が結膜下の実質に迷入することにより生じるため、目の外傷後や手術後に生じることが多いですが、特発性に生じることもあります。
嚢胞による異物感を生じる場合には治療の適応となります。嚢胞を穿刺して内容物を排出する治療では再発をすることが多く、根治的には嚢胞ごと取り出す手術が必要となります。
 
*結膜リンパ管拡張症
結膜嚢胞と似たような見た目を呈する病気として、結膜リンパ管拡張症があります。結膜内の透明なリンパ管が膨れ上がった病変です。単一の嚢胞状に隆起する場合や、数珠状に連続した隆起として観察される場合があります。拡張したリンパ管内に血液の充満が生じた場合には、出血性結膜リンパ管拡張症と呼びます。
上記の写真の2名の方はいずれもリンパ管拡張による違和感の症状があったため治療を行いました。
 
6)化膿性肉芽腫
霰粒腫や眼瞼結膜炎などに引き続いて生じる結節状やポリープ状のできものです。色調は鮮紅色を呈します。炎症細胞から構成されるもので、いわゆる腫瘍性病変とは異なります。
 
上記の2枚の写真は、それぞれ異なる2名の方において霰粒腫に続発したと考えられる化膿性肉芽腫です。
 
 

記事監修 眼科医  東 岳志

日本眼科学会認定 眼科専門医

瞼の手術や涙道の治療を行う眼形成外科を専門としています。特に眼瞼下垂手術を得意としており、眼科専門医として眼の機能を第一に考えながら、整容面にも最大限配慮した治療を心がけています。

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