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結膜腫瘍

結膜腫瘍とは

結膜腫瘍とは、眼球の白目(結膜)に腫瘍ができた状態です。良性の腫瘍であることが多いものの、見た目だけでは悪性腫瘍と完全に区別することができません。

年々大きくなっているような場合には腫瘍を切除摘出して、病理検査(取り出した組織を顕微鏡で観察して、腫瘍が良性か悪性かを判断する)を行うことが大切です。​

 

結膜腫瘍の種類

結膜母斑

結膜母斑(けつまくぼはん)は、若年者の結膜において、母斑細胞が増殖した結果生じる扁平な隆起性の腫瘍です。メラニン色素を含む程度によって色合いは異なり、肌色〜黒色の色調となります。

結膜母斑の周囲に充血や血管拡張を伴い、母斑の内部には嚢胞(タピオカ様の外観と呼ばれることも)を認めることが特徴的です。
 
 
結膜メラノーシス
結膜メラノーシスは、中高年から高齢者の結膜において、メラノサイトが異常に増殖した結果生じる扁平な腫瘍です。黒褐色〜茶褐色の色調となります。

結膜母斑と異なり、隆起がないこと、嚢胞がないこと、境界が不鮮明なことなどから鑑別することができます。

基本的には良性の腫瘍ですが、まれに悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)と呼ばれる悪性の腫瘍に変化することがあり、年々の増大傾向がある場合には注意が必要です。
 

上の2枚の写真は異なる方の結膜メラノーシスです。結膜に茶褐色の色素沈着を認めるものの、母斑とは異なり腫瘍の隆起はなく周囲の血管拡張も目立ちません。

 
結膜乳頭腫
結膜乳頭腫(けつまくにゅうとうしゅ)は、乳頭状の隆起性病変です。血管成分を多く含む線維性結合組織であるため、赤色〜ピンク色の色調となります。下まぶたの結膜や涙丘が好発部位です

20-30歳代での発症が多い腫瘍で、この年齢での乳頭腫は多発していることもあります。50歳代以降では1ヶ所のみに見られることがほとんどです。

ヒトパピローマウイルス(HPV)との関連性が指摘されており、手術で取り除いても再発することが多く、繰り返しの治療を要する場合があります。

上の写真では、同じ方の左眼内側の上まぶたと下まぶたに、乳頭腫が多発しています。

 
結膜血管腫
結膜血管腫(けつまくけっかんしゅ)は、結膜血管に由来する腫瘍性の病変です。自然に退縮したり、急に大きくなったり、出血したりなどの変化がありますが、通常は経過観察で問題ありません。
 
上の写真の方は、血管腫がまぶたの縁に接して異物感を生じていたために、治療を行う方針になりました。
 
結膜嚢胞
結膜嚢胞(けつまくのうほう)は、結膜下に半透明のドーム状腫瘤が形成されたものです。結膜の上皮成分が結膜下の実質に迷入することで生じるため、眼の外傷後や手術後に生じることが多いですが、特に原因がなく生じる場合もあります。

嚢胞による異物感が強い場合には治療の適応になります。嚢胞を穿刺して内容物を排出する治療では再発することが多いため、根治的には嚢胞ごと取り出す手術が必要です。

 
結膜リンパ管拡張症

結膜嚢胞と似たような見た目を呈する病気として、結膜リンパ管拡張症があります。

結膜内の透明なリンパ管が膨れ上がった病変です。単一の嚢胞状に隆起する場合や、数珠状に連続した隆起になる場合があります。拡張したリンパ管内に血液の充満が生じた場合には、出血性結膜リンパ管拡張症と呼びます。

上の写真の2名は、いずれもリンパ管拡張による異物感を生じていたために、治療を行う方針としました。

 
結膜化膿性肉芽腫
結膜化膿性肉芽腫(けつまくかのうせいにくげしゅ)は、霰粒腫や眼瞼結膜炎などに引き続いて生じる結節状やポリープ状のできものです。色調は鮮紅色を呈します。

炎症細胞から構成されており、いわゆる腫瘍性病変とは異なります。

 

上の写真は、それぞれ異なる2名の方において霰粒腫に続発したと考えられる化膿性肉芽腫です。程度により様々な大きさになります。

 

涙丘部腫瘍(涙丘腫瘍)

眼の内側(内眼角)の盛り上がった部分は涙丘(るいきゅう)と呼ばれ、結膜と連続しています。涙丘にも腫瘍が生じることがあります。

涙丘の組織構造は、通常の結膜とは異なるものの、解剖学的には結膜の一部であるため、結膜と同様の腫瘍が生じます。

 

涙丘母斑
結膜母斑と同様に腫瘍内に含まれるメラニン色素の量により、色調が異なります。

左側の写真では隆起した褐色の母斑を認めますが、右側の写真では扁平な黒色の母斑を認めます。

 
涙丘乳頭腫

涙丘の乳頭腫は単独で見られることもあれば、多発した結膜乳頭腫と同時に存在する場合もあります。

 

脂腺過形成
脂腺過形成(しせんかけいせい)は、脂腺組織由来の良性腫瘍で、涙丘やマイボーム腺の脂腺から発生する腫瘤性の病変です。色調は白色から黄白色です。

涙丘に生じた場合には、表面に凹凸を伴ったドーム状や半球状の形態になります。

 

 

記事監修 眼科医  東 岳志

日本眼科学会認定 眼科専門医

瞼の手術や涙道の治療を行う眼形成外科を専門としています。特に眼瞼下垂手術を得意としており、眼科専門医として眼の機能を第一に考えながら、整容面にも最大限配慮した治療を心がけています。

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