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「緑内障があると使えない薬」について

[2022.05.02]
「緑内障があると使えない薬」についてお話しします。
 
内科や精神科で処方される薬の中には、「緑内障があると使えない」と注意を受ける薬があります。
精神安定剤などの、一部の薬品には瞳孔を広げる作用があります。それによって急性緑内障発作という怖い発作を起こしてしまう方がいらっしゃるため、注意喚起されています。しかし、「緑内障があると使えない薬」は緑内障の患者さん全員に使えないというわけではありません。一口に緑内障と言っても、このような薬が使えるタイプの緑内障と、使用できないタイプの緑内障があるのです。
 
このような薬が使えないタイプの緑内障とは、閉塞隅角緑内障というタイプの緑内障を指しています。眼内には房水と呼ばれる水分が循環していて、この房水の排水口にあたる部分が隅角で、ここが狭くなってしまい緑内障になっているのが、閉塞隅角緑内障です。なお、狭くなってしまった隅角のことを、狭隅角と呼びます。
狭隅角の状態において、瞳孔が開いてしまうことで、隅角の完全閉塞(急性緑内障発作)を発症してしまうことがあるのです。急性緑内障発作は非常に怖い発作で、激しい眼痛、頭痛により嘔吐される方もいらっしゃるほどです。短時間で視神経の高度な障害を引き起こすことから、なるべく早く発作を解除する必要があります。もちろん、そもそも発作を起こさないようにするのが最も重要です。
 
なお、白内障手術を終えた方は、眼の中のスペースが広がるため、急性緑内障発作を起こすことはありません。このため、狭隅角の方においては、視力が落ちていなくても白内障手術を行うことがあります。
また、隅角が広いタイプの緑内障を開放隅角緑内障と呼びます。
 
緑内障がある方は、ご自身がどのタイプの緑内障なのかを知っておくと安心だと思います。
 

記事監修 眼科医  渡辺 貴士

日本眼科学会認定 眼科専門医
東京医科歯科大学眼科 非常勤講師

大学病院や数々の基幹病院において第一線で多数の手術を行ってきました。特に白内障手術と網膜硝子体手術を得意としています。現在も東京医科歯科大学の非常勤講師を兼任しており、大学病院での手術指導および執刀を続けています。

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